木村石鹸百年史
100周年の歩み。木村石鹸の始まりの物語
100周年イヤーということもあるので、少し木村石鹸の歴史を書いてみようかなと思います。
2024年が始まって、もう1ヵ月以上が経過してしまってるんですね。随分遅い挨拶になってしまいました。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
木村石鹸は2024年4月1日で、創業100周年を迎えます。
未だ小規模な吹けば飛んでいくような零細企業ではありますが、なんとかかんとか創業100年を迎えることができました。これも得意先さま、協力会社さま、そして商品を購入して使って頂いてる多くの生活者の皆さまのお陰です。本当にありがとうございます。
100年の歴史の中で、僕自身がこの会社に関与してるのは、この僅か直近10年ちょいだけです。勤続年数が一番長い社員で31年です。(あ、会長である親父は中学から仕事手伝ってたんで、それ考えると60年とか70年近く関与しているわけですが...)
そう、100年という歴史のうち大半の年月は先人が築き上げてくれたものなんですね。僕等はたまたま、タイミングよく100年という節目の年に、この会社にいてたに過ぎないのかなと思ってます。こういう機会って人生の中で何回もあるわけではないと思うので、ステークホルダーの皆さん全員に感謝の意を表しつつ、100周年イヤーは、できるかぎり自分たちが楽しいと思えるような取り組みをやっていきたいなと思ってます。
100周年イヤーということもあるので、少し木村石鹸の歴史を書いてみようかなと思います。
初代は歯ブラシ屋からスタート
100年前、木村石鹸を創業したのは木村熊治郎という人物。僕の曽祖父 です。僕は見たことはありません。幼少期の記憶で誰かの葬式のシーンを覚えてて、僕はそれが曽祖父の葬式だと勘違いしてました。曽祖父は太平洋戦争最中の1944年に61歳で亡くなってて、僕が生まれる遥か前なので。
熊治郎は12歳で歯ブラシ屋に奉公に出て、18歳で独立して歯ブラシ製造所を立ち上げたそうです。ところが39歳でこの歯ブラシ製造所を廃業し、石鹸製造会社に1年見習いに入り、40歳でゼロから木村石鹸製造所を設立します。これが1924年。今の木村石鹸の始まりです。
歯ブラシ製造所の方は廃業当時はけっこう大きな規模だったようで、70~80人ぐらいの女工さんを雇い、歯ブラシも大半は海外に輸出していたらしく、今で言うところのグローバル企業でしょうか。なぜ、そんな歯ブラシ製造所を突然辞めてまでも石鹸の道に進んだのか。
石鹸製造に感動して歯ブラシ屋を辞めることを決意
親父から聞いた話では、熊治郎がある日銭湯で身体を洗ってると、ある人から「石鹸って何で出来てるか知ってるか?」と聞かれた。「石鹸って言うぐらいやから、石か何かやろ」と熊治郎は答えたそうですが、「石鹸は油でできてるんやで」と答えを聞いて、かなり驚いたそうです。
汚れっちゅーたら油やのに、汚れを落す石鹸が油から出来てる? そんなアホな。熊治郎は信じることができなかったようですが、後日その方に石鹸製造会社を見せてもらって、油から石鹸をつくる、今も木村石鹸で続けている「釜焚き製法」の様子を見学させてもらった。油脂が石鹸に変っていく様子を見て感動した熊治郎は、その瞬間に「石鹸屋になる」と決めたそうです。
石鹸製造にそんなに感動するのかな、って僕なんかはちょっと疑問だったりするんですが、でも、何かが熊治郎を突き動かしたんでしょうね。
僕の親父も多分にその傾向はあるのですが、一度決断したら、とにかくせっかちなので早いのです。熊治郎は即歯ブラシ屋を廃業したそうです。といっても雇っていた人を別の会社に雇用してもらうよう段取りしたり、工場は別の会社さんに売却したり、色々関与していた人になるべく迷惑掛からないように配慮はして事は進めたようですが。
そして39歳でド素人で石鹸会社に見習いで入り、釜焚き製法を学んだり、石鹸のことを勉強したのでしょう。1年後に独立し、ほぼ一人で木村石鹸を始めたわけです。
ちなみに釜焚き製法は、今でもうちでもやっていますが、油の状態や気温や湿度など環境によって微妙なコントロールが必要で、職人の経験や勘が重要な作業です。なかなか1年で釜焚きを完全にマスターするのは難しいと思うんですが。
当時、息子の金太郎(二代目)は15歳。夜間学校に通いながら、木村石鹸の手伝いをしていたらしいです。こうして木村石鹸は今から100年前の1924年にその歴史の歩みをスタートしました。
【スタッフによるコラム】英語の石鹸の語源
古代ローマの初期、サポーの丘というところで、いけにえの羊を焼いて紙に供える風習があり、滴り落ちた油と木灰(アルカリ分)が混じったものを石けんとして使っていたという記録があるそうです。
これは自然に生まれた石けんです。この丘の名前であるサポーが、英語の「ソープ」の語源なのです。
しかしながら、「ソープ」という表記が全て石けんを表しているわけではありません。英語のソープは広くは「洗浄剤」の意味でも使われています。
ポンプ式の液状ハンドソープやボディーソープは中身が石けんであったり、合成洗剤(合成界面活性剤)であったり、その両方が混同して使われたりしています。
なので、「ソープ」と書いてあっても、成分表示をよく見る必要があるのです。本物の石けんは、脂肪酸ナトリウム(石けん素地)、脂肪酸カリウム(カリ石けん素地)です。
参考:長谷川 治:『これでわかる!石けんと合成洗剤 50の疑問: あなたは何を使って洗っていますか?』,洗剤・環境科学研究会,合同出版,2015,p24,p36
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