HASHUKA
HASHUKA植物コラム2:暮らしの中の月桃
HASHUKAの植物コラムです!
書き手:うらちゃん
HASHUKA植物コラム第2回です。
前回は月桃がどんな植物かをご紹介いただきました。
今回は、月桃が沖縄や奄美の暮らしの中でどのように使われてきたか、食べ物・お茶・生活用品にわたる幅広い用途を多胡さんに語っていただきます🍵
読んでいるだけでお腹が空いてくる、そんな回です^^
≪暮らしの中の月桃 人々の生活に寄り添ってきた植物≫
それでは、月桃がどのように利用されてきたのかについて書いていきたいと思います。
まずは、私の大好きな用途、お菓子やお茶、料理について!月桃は葉、花、実ともにショウガ科特有の爽やかな香気があり、沖縄のハーブ、薬草として香りづけや、食品の包み材として用いられてきました。
鬼餅(ムーチー)
ゲットウを使ったお菓子で有名なのはなんといっても鬼餅(ムーチー)です。

もち粉を水でこねたものを月桃の葉に包み、蒸しあげたお菓子で、黒砂糖を混ぜたもの、紅イモを混ぜたものなどもあります。沖縄では旧暦12月8日のムーチーの日に無病息災や厄払いの願いを込めて食べられます。
この、ムーチーで厄払いをする文化は、鬼になってしまった兄に鬼餅を食べさせて退治する、沖縄の昔話が由来となっていると言われています。
香りの強い植物、薬用として利用される植物に健康祈願や邪気払いの願いを込めることは世界中で見られ、特に端午の節句の菖蒲やヨモギなどの話とも共通性があり興味深いです。
なおこのムーチーですが、琉球王の使節団が嵐に会い、熊本の﨑津に漂着した際に製法が伝えられ、現地で入手しやすい杉の葉を使った杉ようかんとして根付いたとされています。この辺り、食の伝来や素材の代用って調べると面白いですよね!
さて、肝心のお味ですが、清涼感のある月桃の香りと、優しいほのかな甘みでとてもおいしいです。沖縄にはスーパーマーケットでも売っているところもありますし、冷凍ムーチーやムーチーの元は年中通販でも売られていますので、見かけた際は是非さんぴん茶などと合わせてお試しください!
そのほかに、月桃を利用したお菓子としては、お祝い事の際に食べられる、食紅で「の」の字が書かれた「のまんじゅう」も月桃の葉に乗せて蒸しあげられています。
この食品を乗せる、包むという用途、大きくて丈夫で手に入りやすいというだけでなく、笹などと同じように抗菌や防虫を期待してという意味合いもあったようで、実際に月桃の葉には抗菌、防虫、抗酸化成分が含まれるとの研究もされています。
また、ちょっと古くなってしまった食物の食味や匂いを芳香でマスキングするような効果もあったかと思われます。
高温多湿で食べ物がダメになりやすい沖縄では特に珍重されたと思われます。実際、私もおにぎりを月桃の葉で包んでみたことがありますが、月桃の爽やかな香りが移り、とても食欲をそそるものでした。
あと、手軽に月桃の香りを楽しめるものとして月桃茶もあります。

月桃の葉で入れるお茶で、とても爽やかな香気で、ホットはもちろん、夏は氷で冷やしてアイスティーにしてもおすすめです!お好みでさんぴん茶や緑茶を混ぜて入れても美味しいです。
特に私が好きなのは、さんぴん茶の茶葉と混ぜて入れる月桃さんぴん茶です。ジャスミンのフローラルな香りに月桃のグリーンみのあるスパイシーな香りが加わり、まるでジャングルの中の南国の花のようなエスニックな風情が味わえます。
月桃には芳香性の精油成分のほか、ポリフェノールが非常に豊富に含まれることから健康茶としても人気なようで、最近は通販で生の月桃の葉も、乾燥した月桃茶も売られてますので、気になる方はぜひお試しください!
繊維・その他の用途
食にまつわること以外としては、月桃は茎や葉の繊維が強くとても丈夫なので、昔は薪などを束ねる縄として使われたり、草履を編んでいたこともあったようです。香りのいい月桃で編まれた草履、素敵ですね!
それ以外にも、葉をもんで、香りをつけて虫よけにしたり、乾燥した葉を衣類の防虫にも使っていたこともあるようです。
ほかに繊維関係では、最近は月桃の繊維をすき込んだ月桃紙もつくられていたりします。
そのほか、とにかく丈夫で、年中緑のきれいな葉を保ち、春から初夏にはきれいな花も咲くため、庭先や駐車場、公園などにも観賞目的でも植えられています。
ショウガ科の植物は有用植物が多く、広い用途をもつものが多いのですが、ゲットウの用途の多様さはなかなかに驚きのレベルなんです。まさに人の暮らしに寄り添ってきた植物と言えます。
編集後記
多胡さんが化粧品の開発者になったのは、「日常に寄り添うものを作りたい」という思いがあったからだと、以前お話を聞いたときに教えてもらいました。
多胡さんは今基礎化粧品の開発に没頭しておられますが、医薬品よりも化粧品を選んだのも、「楽しい気分で使ってもらえるものがいい」というシンプルな理由からだったそうです。
今回のコラムを読んで、その言葉をふと思い出しました。
月桃を紹介する文章の最後に、多胡さんは「まさに人の暮らしに寄り添ってきた植物と言えます」と書いています。
植物の説明として書かれた言葉で、本人が意識しているかどうかはわかりませんが、多胡さんという人の一貫したものさしが、こういうところにも顔を出すんだなと感じました。
もうひとつ、コラムの中で好きな場面があります。月桃の葉が食品の包み材として使われてきたことを説明したあと、「実際、私もおにぎりを月桃の葉で包んでみたことがあります」とさらっと書いている部分です。調べるだけでなく、自分でちゃんとやってみる。そういう人なんだということが、この一文でよく伝わります。
次回は多胡さんが実際に月桃を使ってお菓子を作るレシピ回(!?)です。おうちで試せる内容なので、ぜひご一緒に。
