くらしの豆知識
洗濯王子の講座を受講して、洗濯のことを色々考えた
あわあわ便り 2023年8月号
洗濯王子こと、洗濯家の中村さんをご存じでしょうか。
洗濯についての色んな情報発信をされ、正しい洗濯を広めようと活動をされている方です。
自宅には二層式からドラム式まで色々な型の洗濯機が数種類並ぶ、本当に「洗濯」のための実験スペース「洗濯アトリエ」なんかを作られて、その洗濯への入れ込みようや愛は半端ないです。
先日、この中村さんがプロのクリーニング師の仲間たちと共同でつくった洗濯講座の第一回を受けました。全3回の講座ですが、あと2回はスケジュールの都合でまだ受けられてません。でも、必ず受けようと思ってます。
第一回は「洗濯」とは何か、というかなり大枠の話で、「洗濯」をもう一度きちんと捉えなおしてみようというような内容でした。僕はかなり目から鱗でしたし、とても面白く、自分達の商品開発や今後の洗濯への言及にもすごく参考になったなと思っています。
昨今の「洗濯」に関する言説やコンテンツの多くは「汚れ」と「洗い方」にばかり終始していると、中村さん達は指摘されていました。例えば、カレーの汚れが付いたらどうしたら良い?とか、襟袖の黄ばみはこうしたら取れるとか。
しかし、中村さん達は、そもそも「洗濯」という行為の中心にあるのは、まず「衣類」ではないかと疑問を呈します。まずもって、その「衣類」が何であるか?や、衣類の強度を抜きにして、「洗い方」や「汚れ」についてばかり語っても意味がないのではないかと言うわけです。
洗濯とは何よりも「衣類の強度」の中で、どのような洗い方を選ぶか、それによって落せる「汚れ」が決まる。この順序が大事なのだと指摘します。
これは当たり前のことのようで、実はとても重要な指摘だなと思ったんですね。
①洗うもの(衣類)の強度を把握する
②その強度の中で、どのような洗い方が可能かが分かる
③その洗い方の中で、取れる汚れが決まる
個人的には、②と③は両方からアプローチはあるなとは思います。
「汚れ」によっては洗濯機を回すだけでは難しいものが出てくると思うので、それは①の強度の範囲内で選択可能な他の洗い方も検討します。
ただ、前提として凄く大事なのはまず①です。ここを曖昧にしてるといくら②と③をあーだこーだ言っても始まらないという感じでしょうか。
あともう一つ、大きな問題があるのは③のところです。
現在殆どの人が、普通の「正しい洗濯」が理解できていない、行えていない状況なんじゃないかと思うのです。中村さん達はよく「洗濯が壊れている」という表現をされてます。
本来、ちゃんとやれば洗濯機で十分取れる汚れなのに、洗濯機では汚れが取れないと勘違いして、過剰に部分洗いや予備洗いなどをしてしまってるケースはかなりあるんじゃないかということです。
家庭の洗濯で行くと、今はどんどん「濯ぎ」が少なくなり、使用する水の量が減っています。
洗濯機メーカーも節水や省エネ、時短などのワードを意識した洗濯機を投入してきますし、洗剤メーカーも濯ぎを減らせる商品を出してきています。
この忙しい日々で、時短や節約は確かに重要かもしれません。でも、それをやりすぎて洗濯がちゃんと行えず、結果衣類やタオルを直ぐに駄目にしてしまってたら、それは本末転倒ではないかと思うのです。
洗濯の基本が、洗剤(界面活性剤等)の力で汚れを水の方に引き剥がす(そして、汚れが衣類に再付着しないようにする)という化学の力を活用するものであれば、「水」は実はすごく重要なファクターだということは分かります。
また洗剤等に含まれる界面活性剤は、水の表面張力を下げて衣類に水を浸透させやすくする働きも持っていて、繊維の奥にまで水を浸透させます。それによってしっかり汚れを取るわけです。その状態の衣類は濯ぎはしっかり3回はやったほうが絶対良いわけです。
最近は濯ぎ0回みたいな洗剤もいくつか出てきてますが、洗濯の原理から考えるとやや不安かなと個人的には思います。もちろん、濯ぎ0回でも大丈夫な処方や工夫がなされていることは理解できるのですが、実際中村さん達が行われてる実験では、濯ぎ0回では物足りないという結果になっていました。
この講座を受けたり、話を聞かれて、濯ぎを3回にしてみたら、洗濯後の衣類が今までと全然違う仕上がりになった、と仰る方がかなりいらっしゃいます。これは別に魔法でも何でもなく、本来洗濯で出来るはずのことが、正しい洗濯が出来てなかった故に出来てなかったというだけだったりします。洗濯機を替えなくても、新しい凄い成分が入った洗剤を買わなくても、「普通に」「ちゃんとした」洗濯ができれば、実は、今の洗濯機や洗剤の性能でいえば、多くの汚れはちゃんと取れたりするんです。
まず、洗濯の基本に立ち帰る。洗濯の仕組みや原理を理解して、そのセオリーに則った洗濯をちゃんとやってみる。色々洗剤を変えたりするよりも、まずそこを見直してみることかなと思いました。
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