木村石鹸日記
100周年イヤーに固形石鹸が復活しますよ!
あわあわ便りの3月号です! 開発中の固形石鹸について一足さきにご紹介させていただきます。
サントリーさんのビール事業はプレミアムモルツがヒットするまで実に45年間も赤字だったそうです。45年赤字って凄いですよね。
もしサントリーさんが上場企業だったら、多分こんなに長い期間赤字の事業を継続することは難しかったんじゃないかと思います。株主から絶対突っ込まれますしね。
総合酒造メーカーとしてビールをやらないわけにはいかない。サントリーはそんな気概で、ビール事業に取り組んでいたそうです。今はビール事業もちゃんと収益を上げる重要な部門になっているようですが、その熱意は凄いなと思います。
木村石鹸は今年創業100年を迎えます。
この100年のタイミングで、僕らは固形石鹸を「新発売」する予定です。
僕らは社名に「石鹸」と付いてはいるものの、実は固形石鹸を手掛けていませんでした。
創業時からしばらくは固形石鹸も製造はしていたそうですが、固形石鹸は大手の大量生産で値段はどんどん下がっていき、木村石鹸のような規模の会社ではなかなか続けていくことは難しかったようで、どこかのタイミングで止めてしまったということでした。
僕は10年前に木村石鹸に戻ってきた時から、いつかは固形石鹸をやりたい、復活させたいとずっと言い続けてきました。
サントリーさんを参考にしても仕方ないのですが、ただ、石鹸メーカーとしては、やはり固形石鹸はやっておくべきなんじゃないかと思っていたのです。
液体石鹸、粉石鹸は今も製造してますし、それらを使った商品も幅広くあります。
でも、固形石鹸はありません。大抵の人は石鹸と聞くと固形石鹸を思い浮かべると思います。なので、象徴的なものでも構わないのですが、とにかく固形石鹸は持っておくべきだと思っていたのです。
開発・製造も一筋縄ではいかなかった
本格的に固形石鹸復活への取り組みを始めたのは5年前ぐらいでしょうか。
100周年を期に石鹸を復活させよう、ということで処方開発を始めました。当時はまだ製造場所もなく、研究室でのビーカーワークで開発を続けていました。
固形石鹸なんて、成熟した製品です。個人でも趣味で作っている人は沢山います。
僕は正直、開発にそんなに時間は掛からないだろうと思っていました。どちらかというと、どうやって生産するか、そちらの問題の方が大きいと考えていたのです。
ところが始めて見ると、固形石鹸にもかなり色々なノウハウがあり、そんな簡単にはいかないということが分かりました。
固形石鹸なのに、つっぱらない、しっとりもっちりの洗いあがりはどうすれば実現できるのか。透明石鹸を試してみたり、色々な油を試したり、かなり試行錯誤をしました。何度も失敗して、失敗しては学び。少しづつ石鹸の質があがっていきました。
2年前から伊賀工場の中に製造場所を新たに作り、実製造のテストを始めました。
丸いパイプに石鹸を流し込み、固まったら石鹸を抜き、輪切りにする。輪切りにしたものを1ヶ月以上、乾燥・熟成させる。
大きなプロセスはこんな感じですが、何せゼロから全て自分たちでやっているのでなかなかうまくいきません。
パイプから抜いた石鹸を切るための装置も、何度か試作をして今は5つ一気に切れるものになりました。
(石鹸をピアノ線で切る機械。最新版は5つ同時に切りだせる)
製造した石鹸がまだら、真ん中だけ石鹸の結晶の様子が違う、蜜みたいなものが出来たりもして。これも処方の改良で解消しました。
ところがその処方にすると、今度はパイプから石鹸が抜けにくくなり、石鹸を抜くための機械を用意することになりました。
(パイプから石鹸を抜く機械)
デザイン・パッケージも四苦八苦
昨年からは具体的なパッケージやクリエイティブなども作り始めたのですが、これもなかなかスムーズには行きませんでした。
クリエイターさんには色んな案を提案してもらい、その中の1つを選んで、少しづつブラッシュアップしていってて、かなり煮詰まってきた昨年末のタイミングで、僕がちゃぶ台返しをしてしまったのです。
進んでいたプランも悪くはなかったのですが、どこか自分の中で違和感がありました。
「悪くはない」のです。でも「悪くない」で良いのか、これが本当に木村石鹸らしいのか、と問うと、いや違うんじゃないかなとなりました。
クリエイターさんには申し訳なかったのですが、一旦ゼロリセットで、再度、考え直してもらうことになりました。そして新しく練ってもらった案が、これがめちゃ良かったんです。
(まだ最終系ではないですが、こんな感じ)
少しポップさと楽しさもありながら、ちゃんと100年の伝統も感じられる。木村石鹸らしいクリエイティブだなと思ってます。
かなり良い石鹸ができたと思います!
社内でのモニターテストをしていますが、いつも社内モニターはかなり辛めの意見が多いのですが、今回のこの固形石鹸はかなり評価が高いです。逆にそれはそれで恐いんですが。
でも、僕自身も使っていて、かなり満足度が高い。油の関係で、泡立ちは正直あまり良くないのですが、とにかく洗い上がりのもっちり感とさっぱり感の絶妙なバランスが良いです。
固形石鹸って良い意味で洗い上がりはさっぱりだし、悪く言えばちょっとつっぱったような感覚を覚える人が多いと思いますが、この固形石鹸はつっぱった感じはなく、むしろ肌が調子を取り戻したような感覚で、しかもしっかり保湿されててかなり気持ちの良い洗い上がりです。
創業100年。次の100年へのスタートとして、固形石鹸をラインナップに加えるところから始める。夏ごろには何らかの形でお披露目できるとは思うので楽しみにしててください!
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