![【THE SHOP後編】The Bath Cleaner [Think Nature] 誕生まで](https://storage.googleapis.com/62027fab-bbbe-4118-91c9-ae7dae0161e5/post/t1v31hecc5.jpg?v=1742261020)
インタビュー
【THE SHOP後編】The Bath Cleaner [Think Nature] 誕生まで
THE SHOPの米津雄介さんに取材させていただきました! 【後編】では主にThe Bath Cleaner [Think Nature] についてのお話をお伺いします。
東京の一等地にある、渋谷スクランブルスクエア。
その中には、THE SHOP SHIBUYAという「定番」をコンセプトにした商品を取り扱う店舗があります。
THE SHOPは、good design companyの水野学さん、中川政七商店の十三代中川政七さん、PRODUCT DESIGN CENTERの鈴木啓太さんらと、今回お話をお伺いする米津雄介さんで立ち上げたTHEが運営する店舗で、彼らが考える最適なオリジナル商品とともに、選び抜かれたプロダクトを取り扱っています。
THE SHOPでは、木村石鹸の12/JU-NI・SOMALIなどをお取扱いいただき、新しくTHEさんで発売されたThe Bath Cleaner [Think Nature] は商品づくりから伴走させていただきました。
【後編】では主にThe Bath Cleaner [Think Nature] についてのお話をお伺いします。
前編:https://www.kimurasoap.co.jp/a/c/journal/l/interview/theshop1
書き手:にしうら
モノづくりにかける熱量
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木村石鹸とTHEさんの出逢いについてお伺いしている中で話が戻ってしまって恐縮なのですが、
商品会議が月に10回というのも驚きなのですが・・・
米津
僕が出る会議が10回ほどあるということなのですが、商品開発メンバーとは毎週必ず半日会議がありますね。
あとは、経営メンバープラス商品にかかわる人6-7人ぐらいでやってる会議なんですけど、ブランド始まってからの8年間ほど、コロナ禍までは月に2回5-6時間かけて会議をしていました。
本来会議は3時間なんですけど、遅れてもいいように夕方から始めていました。
そうすると、夜は打ち合わせが入っていないから話せるっていう僕の打算で、延長に延長を重ねて5時間とかになっちゃうんです!
でも、中川さんが音を上げて「いい加減さ、このスタイルはやめないか」「こんなのおかしい!ブラック企業や!」みたいな話を言われてしまったんですよね(笑)
なので、今はきっちり月に一度2時間で頑張っています(笑)
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5時間・・・!
会議の時間だけでもいかにモノづくりに真剣かがわかります
The Bath Cleaner [Think Nature] の誕生
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モノづくりの話が出たので、ここからは木村石鹸が完成まで伴走させていただいた「The Bath Cleaner [Think Nature] 」についてお話をお伺いします。
最初木村からお話させていただいて、「この商品はTHEさんで販売するのがいいと思う」というような声かけをしたと聞きました。
実際、バスクリーナーの話があったときはどのように思われましたか。
米津
木村さんとはコロナ禍の出会いから親密になっていきまして、たしか一昨年ですかね。
仕事含みで、一緒に静岡のお茶の生産地を回るっていうことでたくさんお話しさせていただいて、そのあとサウナに行ったんですよね。
そのサウナから出て、スターバックスでコーヒーを飲んでいるときに木村さんが「実はさ・・」って教えてくださったのが初めです。
このクリーナーの前にも一度木村石鹸さんには僕らからお願いをしていたのですが、それが中断になって、また木村さんからお話をいただいて、しかもすごい良いモノと聞いたので逆に「いいんですか?」という感じでした。
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状況まで覚えていてくださっていて、ありがとうございます!
事前にTHEさんとの商品づくりに関わったスタッフから話を聞いていて、本当に最適とは何かということを最後まで突き詰めていらっしゃる方だと思いました。
一緒に商品を作る中で木村石鹸に対して感じることはありましたか。
米津
僕らは基本的に、「この会社すごいな!」というところからお声かけさせていただいて、開発が始まることが多いんです。
でも、木村石鹸さんはモノが決まっていて中身もある程度できた状態で始まったんですよ。
僕らとしてはそれは初めてで。
うちで最初にやることは、ひたすら使うことで、比較対象品も使いつつ3ヶ月間は毎日お風呂掃除して、それからバスクリーナーについて色々考えようということで社員とディスカッションをしていくということをしていました。
僕が木村石鹸さんに対してすごいなと思ったのが、開発者の方とお話していてすごい楽しいということです。
僕らは、デザインの面はプロだと思っていますけど、洗剤づくりに関しては素人なんですよ。
なので、素人質問がたくさん出るんですけど、本当に150%くらいで返してくれました。
最適なものをつくりたいという中で、ああでもないこうでもないと面倒臭いことばっかり言ってしまっていたんですけど、営業担当さんも真面目に受け止めてくれるし、開発のかたも明快に答えてくれて、それが僕ら的には感動しましたね。
最初は、バスクリーナーのノズルの引き具合と液の飛び具合をずっと一緒に進めてくれていたり、生分解性についてもご提案頂いた時点ですでに高いんじゃないかということであったり、僕らの考えていることはモヤっとしていて分かりにくいんですけど、木村石鹸さんがすごくTHEを理解してくださっていて、最適な提案をしてきてくれたんですよね。
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聞いた話では、特に飛び具合の部分で木村石鹸で使用したことのあるノズルは全部試してもらったと聞きました!
今回一緒に作らせていただいたバスクリーナーですが、洗浄力も高く、環境への負担も少なく、デザインも素敵な商品になっているなと、私自身もお話を聞く中で感じます。
この商品はTHEさんにとって最適であるのかということや、どういった商品になりそうだというイメージなどありますか?
米津
全部の商品に適用されるんですけど、僕らは最適を考えるときに指標が5つあって、「形状」「歴史」「素材」「機能」「環境」なんですけど、この5つをどう満たすかみたいなことを議論するときに例えば飛び出方や、色や形のような見た目の美しさなどをフラットに同じ要素で見ていて、機能として考えているんですね。
おそらくバスクリーナーはずっとお風呂場に置かれて、きれいなお風呂に何を景色として置きたいかというところで、見た目も機能になると思うので、ノズルのところはいろいろ試させていただきました。
僕らが見た目に関してうるさく言わなければ性能的には担保されていたものもあったはずなんですが、そことの両立をどのようにするのかというところで、面倒な話をたくさんしてしまいましたが、そこを含めて最適だと感じています。
それから、僕自身お風呂掃除はいやいややってきていて、妻に「いい夫だ」と思われたいからやってたんですけど、2,3ヶ月は毎日ひたすら掃除していて感じたことはやっぱり「きれいになるって気持ちいい」ということです。
僕らは全体としての最適を目指しているので、特に環境性能やデザインも重要で、洗うという機能を犠牲にしてしまうかもしれない提案をすることもあったかもしれません。
でも、木村石鹸さんは洗うことのプロとして、木村さんも社員の方もめちゃくちゃ考えているなという風に感じたんです。
このバスクリーナーを使って、きれいになれば楽しいなということを感じて、明らかにお風呂掃除の頻度が上がりましたし、これからたくさんの人に使ってもらえればいいなと思います。
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ありがとうございます。
洗浄力や使い心地で「きれいにすること」に対して気持ちよさを感じてくださったこと、嬉しく思います。
THEのこれからと、木村石鹸に期待すること
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ここまでTHEさんのお話を聞いて、最適と暮らすために定番の商品をつくり、選び続けているということから、根底は変わらないのだろうとも思いつつ、今後挑戦したいことや、続けていきたいことなどありますでしょうか?
米津
ずっと何年もTHEとしてやっていきたいと言ってきてはいるんですけど、僕らはモノを長く使ってもらうっていうことが一番コアなことで、そのために美しいデザインや品質の高い商品をを提供したいと考えています。
なので、実はTHE SHOPでは自分たちが作った商品の修理依頼をずっと受けてるんですね。
最近はやっと増えてきてはいるんですけど、1000円の商品に修理1000円で送料1000円をかけることって難しいじゃないですか。
ここのミスマッチを解消できるかということで、実は一昨年から、THEブランドの製品に限りではありますが使わなくなったものを、商品券で買い取るというサービスを始めました。
僕らは集めたものを、修理して販売しようと思っていたんですけど、全くうまくいっていなくて。
もうゼロ!(笑)
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えっ、そうなんですか!
米津
実は試験的に、スタッフの古着だったりを集めて試験的に販売したときは結構うまくいったんですよ。
当然値段は安くて、3万円が定価のものを半額で売ったりしていてそれは売れたんです。
ただちなみに、ほぼ全部完売したのに僕が着てたやつだけはぼろくて売れなかったのですが(笑)
商品券で買い取りのサービスを始めて感じたことは、持ってきてもらうということは相当にハードルが高いんだっていうことです。
これは僕らのPR力が全然足りていないし、アプローチとして間違っていたんだろうなと思うけど、またいくつかアイデアを考えたり他の会社さんと協力したりとか、リユースの一助になるようなことでちゃんと利益を得られるようなことをやっていけたらいいなと考えています。
もう一つが、チーム作りというか会社のカルチャーを広めることにもっと時間を使わなきゃいけないし、今まで本当に何にもやれてない、うまくできていない。
みんながもっとやりがいとか、生きがいをもって働けるという会社にしていきたいなと思います。
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私もTHEさんがこれからどのような仕掛けをされていくのか、楽しみです!
最後に、これからの木村石鹸に期待することはありますか。
米津
バスクリーナーを一緒に作ったり、お店で扱っている中で感じたのはやっぱり「ファンが多い」というのはすごいなと思っています。
うちは、定番だからじわじわ伸びていくということを目指しているということもありますが、PR力が弱いので初動が大きくないんです。
でも、木村さんがXでも言ってくださっていたということもあり、このバスクリーナーは多くの方からいいねと言われましたし、情報が届いているという感覚がありました。
お店で販売していても「木村石鹸さんと作ってるんだ」という話から使ってくれるということもあったりして・・・
木村石鹸さんが作ってきたカルチャーに感じることは、勝手ながらうちと目指しているところや考えていることは似ている気がするんですよね。
ただ方法論は大分違っていて、THEはモノを重視しているけど、木村石鹸さんはもう少し全体を見ているところがあると思うので、そういったところを勉強させていただきたいなと思いますし、カルチャーを育てていくというところに今まで以上に携わっていくところを見れたら嬉しいなと思っています。