くらしの豆知識
第2回 意外と知らない、ニオイのはなし~これですっきり!洗濯の疑問
ALL YOURS×木村石鹸のコラボ企画「衣類と洗濯の理想の関係」の第2回。今回は、けっこう悩んでる方も多く、質問もよく頂く「ニオイ」の話です。
ALL YOURS×木村石鹸のコラボ企画「衣類と洗濯の理想の関係」の第2回。今回は、けっこう悩んでる方も多く、質問もよく頂く「ニオイ」の話です。
前回はこちら。
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洗剤メーカーに多く寄せられる「洗濯の悩み」とは?
注)祥一郎(木村石鹸代表木村祥一郎)/まさし(オールユアーズ代表木村昌史)です。
祥一郎:
オールユアーズに洗濯に関する質問はきたりしますか?
まさし:
お問い合わせでたまにあります。基本うちの製品は洗濯機で丸洗いできますよ!とお伝えしているんですが、他の細かいところのご質問をいただいたりします。漂白剤使えますか?とか乾燥機使えますか?などが多いですね。洗剤メーカーにはどんな質問がくるんですか?
祥一郎:
メーカー全体に言えるかはわからないですが、木村石鹸に来る質問で多いのは「臭い」に関する質問です。
特に「洗濯物の生乾き臭が取れないのですが、どうすればいいですか?」
という質問はすごく多いです。この「臭い」について話すと、洗濯のことが段々わかってくるんじゃないかと。
まさし:
そうなんですね。たしかにタオルなんかは、一度生乾きの臭いがついちゃうと、乾いた状態では気にならないのに、濡れるとまた臭う。みたいなことは良くありますね。じゃあ、この話を聞かせてください!
その洗濯、洗剤と柔軟剤入れすぎです
祥一郎:
実はこの質問、洗剤メーカー的には困ってしまうんです…
まさし:
ん…?どういうことですか?
祥一郎:
この生乾きの臭いの問題って、ほとんどの原因が洗剤のせいじゃないんですよ…
まさし:
え、そうなんですか…??
祥一郎:
特殊な機能のついた洗剤以外の洗濯洗剤の主な役割って、あくまでも「汚れを落とす」ことなんです。でも、臭いで困っている方々の感覚的には、原因が洗濯洗剤の「洗浄力が足りていないから」だと思われちゃうんですよね。
まさし:
直感的に考えると、たしかにそう思ってしまいますね。
祥一郎:
生乾きの臭いの主な原因となる菌は「モラクセラ菌」だと言われています。
こういった臭いの元になる菌が濡れている洗濯物の上だと繁殖しやすくなって、それが生乾きの臭いなどの元になってしまいます。
このモラクセラ菌は、洗濯洗剤では取り除くのは難しいです。
もちろん、洗濯で落とすことができる菌もいますが「汚れを落とす」のと「菌を取り除く」というのは違う原理なんですね。
まさし:
「汚れ」と「臭い」はよくよく考えると別の原因ということですね。
私もいま教えてもらって気づいたくらいですから、素人的にはそこを混同して考えてしまうかも…
祥一郎:
それで、臭いが気になるからといって、洗濯洗剤や柔軟剤を過剰にいれてしまうと、原因に対して適切にアプローチできていないどころか、これはこれで逆効果になってしまうんです。
前回でも話しましたけど、衣類に残留した洗剤や柔軟剤がモラクセラ菌をはじめとする雑菌の餌になってしまうので…
まさし:
それは…負のスパイラルすぎる…
イヤな匂いは洗濯では落ちません
祥一郎:
さらにモラクセラ菌は、紫外線にも強いので、天日干しでも取り除くのが難しいです。一度生乾きの臭いがしちゃうと、なかなか取ることができない。
乾いた状態だと不活性化しているんですが、死んだわけではないので、水分がつくとまた活性化してきて臭いがしてくる。
まさし:
モラクセラ菌って、なんてやっかいなんだ…!
祥一郎:
いちど生乾きの臭いがしてしまったものは、基本的には普通の洗濯ではとれないと考えて頂いたほうが良いと思います。
臭いをさせないことで一番大事なのは、「菌が繁殖しやすい状態にしない」ことです。
濡れている状態だと菌が活性化していて増えやすいので、生乾きのまま放置しない。ということがポイントですね。
一人暮らしの男性に多いみたいなんですが、洗濯機の洗濯槽に脱いだものをそのまま入れて行って、一杯になったら洗濯機を回す。という方もいらっしゃるとおもうんですが、洗濯槽自体がずっと濡れっぱなしなので、湿度が非常に高い、菌が繁殖しやすい場所です。
仮に衣類が濡れていなかったとしても、置かれている環境の湿度が高いので、それは衣類が湿っているのと同じような状況になります。
また、洗濯が終わっているのをすっかり忘れて、しばらく洗濯機に入れっぱなしで放置してしまったりもありがちなんですが、やはりこれも臭いの原因になります。
まさし:
たしかに、よく寝る前に洗濯機を回してたら、そのまま寝落ちしてしまうことがあります…
祥一郎:
「濡れたまま長時間置いておかない」ということが重要ですね。
部屋干しが匂いの原因ではない?
祥一郎:
あと、臭いの原因でよく言われるのは、「部屋干し」が原因ではないか?ということですね。
でも、部屋干しするから生乾きの臭いになるわけでもないんです。実際、僕は365日室内で部屋干しですけど、こういうことに気をつけているので、生乾きの臭いに悩まされることは殆どありません。
まさし:
洗濯前に湿った状態で放置しないのと、洗濯後はすぐに干していれば、基本的に生乾きの臭いは防げるということですね?
祥一郎:
基本的にはそうですね。
まさし:
でも、どんなに気をつけていても、臭ってしまう時もあると思います。
実際に臭いがしてきてしまったら、どうすればいいのでしょうか?
祥一郎:
以前Twitterでこんなことをつぶやいたら、結構反響がありました。
ここに書いたことなのですが、臭いの元になる菌は、熱に弱いです。
モラクセラ菌は60℃以上の熱に弱いので、お湯を桶に張って漬け置きしてあげたり、お湯を張った鍋で煮洗いすると除菌になり、臭いの元をリセットすることができます。
また、コインランドリーにあるガス式の乾燥機も乾燥温度が60℃以上なので、同様の効果が期待できます。家庭用のドラム式洗濯機の乾燥モードはそこまで温度が高くないので、さっきお話ししたような予防にはなるのですが、一度臭いがついてしまったものを除菌するのは難しいかもしれません。これは機種によって違うかもしれないので、説明書などを確認するのをおすすめします。
まさし:
それなら家でも簡単にできそう!近所のコインランドリーを有効に活用するのもいいですね〜。
祥一郎:
あとは、過炭酸ナトリウム。酸素系漂白剤と言われているものですが、これを水やお湯に入れてつけ置きする方法もあります。過炭酸ナトリウムは無機物で環境負荷も低い原料です。洗浄力も強く、洗濯槽のカビ取りから、衣類のシミ取りや漂白など、様々な用途に使えます。
価格も安いので、家に常備しておくと便利です。ただ、色落ちしやすいものや、ウールやシルクなどの動物性の繊維などでは形崩れなどの心配はあるので、こちらも説明などをよく読んでみてください。
いろいろな種類の洗濯洗剤をそろえておくより、自分の納得した洗濯洗剤と過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を用意しておけば、そんなに難しいことを考えなくても幅広く洗濯することができると思いますよ。
実際、僕も過炭酸ナトリウムは常に家に常備しています。
まさし:
今調べたんですが、ドラッグストアやホームセンターなどでも売っていますし、オンラインでも気軽に買えるみたいですね!私も家に揃えることにします!いや〜!ありがとうございます!