イベント
書籍刊行記念 木村祥一郎(木村石鹸) × 山縣正幸(近畿大学) トークイベントレポート
「青山ブックセンター」で、『くらし 気持ち ピカピカ ちいさな会社のおおらかな経営』(主婦の友社) 刊行記念として、近畿大学経営学部教授 山縣正幸先生と弊社代表 木村祥一郎のトークイベントを実施いたしました。
11月19日(火) 表参道駅から徒歩15分、30年以上にわたり「ABC」の愛称で長年親しまれてきた「青山ブックセンター」で、『くらし 気持ち ピカピカ ちいさな会社のおおらかな経営』(主婦の友社) 刊行記念として、近畿大学経営学部教授 山縣正幸先生と弊社代表 木村祥一郎のトークイベントを実施いたしました。
青山ブックセンターさんでは、書籍『くらし 気持ち ピカピカ ちいさな会社のおおらかな経営』だけではなく、商品などもお取扱いいただいています。
イベントでは約30名の方にお集まりいただき、予定していた一時間半はあっという間に過ぎていきました。
イベント情報
■2024年11月19日(火) 19:00~20:30トーク 開場18:30~
■会場: 青山ブックセンター本店 大教室
プロフィール
木村祥一郎
1972年生まれ。1995年大学時代の仲間数名とITベンチャー企業を起ち上げる。以来18年間、商品開発やマーケティングなどを担当。2013年6月家業である木村石鹸工業株式会社へ。2016年9月、4代目社長に就任。石鹸を現代的にデザインした自社ブランド商品を展開。OEM中心の事業モデルから、自社ブランド事業への転換を図る。
山縣正幸
近畿大学経営学部教授
1976年生まれ。博士(商学)。研究の専門領域は、経営学史、サービスデザイン。近年はアントレプレナーシップへの美学的アプローチの可能性について研究中。能楽の鑑賞や評論も。ゼミでは、木村石鹸をはじめ八尾などの魅力的な中小企業や地域との協同プロジェクト「価値創造デザインプロジェクト」を展開中。
山縣先生は近畿大学経営学部で経営学を専門にされていて、木村石鹸とは2017年より近畿大学の学生さんと毎年テーマを変えて「近大プロジェクト」を実施しています。
▼過去の近大プロジェクトの様子
近畿大学共同プロジェクト記事一覧
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トークイベントテーマ
経営において「おおらかである」とは?
この記事では、トークイベントで印象に残った部分を抜粋してお届けいたしします。
山縣
私自身木村石鹸さんとは7年くらいご一緒させてもらっていて、この本を読んでいただくとわかるんですけど、すごく面白い会社なんですよね。
言葉にしようとすると難しいんですけど、タイトルにもなっている「おおらかさ」や、内容にもある「社員に任せる」というところが、木村石鹸のベースのように感じてそこが面白いなって思うんですよね。
働き方などの点で実際木村石鹸のスタッフさんにとってはどうですか。
木村
自分たちでおおらかだと思ったことはないんですけど、本をつくるときに編集の方からこの言葉を頂いて、すごくいいなと思ったし、自分たちが目指してる方向に近いなということでタイトルに入れさせていただきました。
僕らが普段使ってる似たような言葉でいくと、寛容とか、違いを許しましょうみたいな、そういうニュアンスに近いかな。
おおらかでいるっていうのは、難しいところもありますよ。
例えば、リモートの人が何をしているかわからないから気になるっていう人も中にはいるかもしれないけど、僕はあまり気にしてもいい意味はないと思うんです。
少なくとも、採用してきた人はさぼって仕事する人とかはいないので、ベースは信じてあとはその人の一番働きやすい働き方で、かつ周りに迷惑をかけない働き方を考えたらいいんじゃないかなと思っています。
山縣
例えば、木村石鹸さんには沖縄に研究開発所がありますよね。
木村石鹸さんの規模から考えたら思い切ったことだとは思うのですが。
木村
沖縄にいるのは12/JU-NI(ジューニ)シャンプーを開発したスタッフ1人なんですけど、彼から「沖縄で研究したい」という提案があって、12/JU-NIをヒットさせたこともあったので5年という区切りをつけてやらせています。
ただ、この前の面談の時には「5年では無理です・・」みたいな話はありましたけど(笑)
彼も、髪の毛の色はどんどん茶色くなっていますけど仕事はちゃんとしているんです。
めっちゃ真面目で、誰も見てないし分からないのに「今日の午前中30分席外します」とかのレベルで連絡してくることがある。
彼は面白い商品を作って、実績も出しているので、次のステップとして彼がやろうとしていることに会社が投資できるというところで判断をして任せています。
山縣
木村石鹸の場合、社員に任せるというか、いわゆるトップの人間が指示をして従うという経営スタイルとはかなり差があるように感じるというか、本にも書いてらっしゃいましたけど、むしろ「自分はポンコツだ」とよくおっしゃっていますよね。
木村
本当にそうなんです。
今日も取材でカメラマンをさせられていましたから。
僕が何かを指示命令していることって本当に少ないんですよ。
例えば大きい「万博出よう!」とかは僕から言うことはありますけど、「こんな商品作りたい!」っていうのは大体僕の案は却下されます。
一番相手にされていないし、むしろ「社長の言うこと聞いてたら会社が潰れるぞ」という感じはあるんじゃないかな(笑)
山縣
いい意味で、すがりすぎていないという感じがしますね。
ある意味、放置しておくというか、あまり口を出さないというのが基本ですかね?
木村
なるべくなら僕は何もしないという風にしたいんですけど、やってしまうことはあります。
2年前に業績がすごく悪かった時期があって、口を出したらためだと思って我慢していました。
必ず誰かが何かをやってくれるだろうと思ったけど「いやもうこれは駄目だ」と思って営業の会議に出たんですよ。
僕が出たからと言って影響力があるわけでもないんですけど、我慢できなくなって出てしまった。
だけど、なるべくならやりたくない。
我慢しないと、自分たちでやっていくみたいなことが起きないと思うんです。
だから、今の僕のテーマは我慢する。これがめっちゃ難しい。
山縣
教員という立場にいるので、個人的にはすごくよくわかります。
少し理論的な話をしてしまうんですが、私は経営学者なんですけど学生に読んだほうが良いよっていう本があって、それがバーナードの『経営者の役割』という本です。
この本は、個人と協働の両立を重視する議論なんですよね。
組織の中で、組織のメンバーとして働いている部分と、個人として働いている部分を人間は両方持っているというのが書かれているんですが、経営学はどちらかというと組織のメンバーとしてしか見ていない議論がほとんどです。
それに対して、バーナードという人は、フォーマルな組織、つまり指示に基づいて会社の仕事として働くという部分と、インフォーマルな組織という言い方をするんですけど、木村石鹸さんで推奨されている雑談とか、目的があるわけではないけど集まっていう状態をセットで考えているんですね。
そこが非常に大事だし、個人の動機が満たされないと個人がやる気を出さないよという議論をする、かつ同時に組織としての目的もあるからそっちも同時に目指さないとうまく回らないよっていう。
木村石鹸さんを見ていると、フォーマルな部分でルールが好きじゃないとよくおっしゃっていますけど、縛るルールは多くないけど、できるためにする仕組みやルールの作り方がうまいなっていう風に思います。
雑談もそうですが、そこにいる人にうまく委ねちゃっているというか、横で見ているとそこはすごい感じるものがありますね。
書籍について
今、経営や仕事で悩んでいる人が、この本のどこかの言葉に心が響き、ほんの少しでも気持ちが軽くなり、前向きな一歩を踏み出すきっかけになれたらうれしいです。――「はじめに」より
出版社 : 主婦の友社 (2024/9/27)
発売日 : 2024/9/27
言語 : 日本語
単行本 : 208ページ
価格:¥1,600