【後編】未来のせっけん~使い捨てる、から「使い切る」
万博出展への道のり後編です!
書き手:うらちゃん
前編では、社長からの「これ、出しといて」という突然の依頼から始まって、審査会を経て万博出展が決定するまでの道のりをお話ししました!
八尾市リボーンチャレンジの13社の一つに選んでいただき、いよいよ9月の出展に向けて準備が本格化することになりました。
後編では、実際に万博で展示する内容がどのように決まっていったのか、その試行錯誤の過程についてもお話したいと思います!
万博出展が決まったけど

万博出展が決まった当初のコンセプトは「プラスチックを使わない洗浄剤・化粧品の未来」でした。
木村石鹸は、洗浄剤や化粧品を扱うメーカーなのでどうしてもプラスチックのボトルやパウチを必要とする場面があります。
プラスチック自体は非常に優秀で、特に液体を取り扱う際には液漏れのしにくさなどから活用しています。
しかしながら、万博出展においては、プラスチックをたくさん使っているメーカーの責任として何かできないか、というところから始まり、水解紙(水に溶ける紙)や可食フィルム(食べれるフィルム)を使ってハンドソープを作れないかということで試行錯誤していました。
【水解紙とは】
その名の通り水に溶ける紙です。木村石鹸では、コインランドリーの洗剤として「ホワイトベアー」というものがあり、一回分の洗剤を水解紙に包み、そのまま洗濯機にいれるというものがあります。また、排水溝の洗浄剤の粉舞防止のために水解紙で包むという方法も活用しています。
そもそも「使い切る」という発想

企画を進めていく中で、井本さんという12/JU-NIなどのデザイナーさんにも協力していただくことになりました。
デザイナーさんとの打ち合わせの中で、水解紙のアイデアについて話し合いを何度か重ねたものの、確かに面白いアイデアではあるものの、「新しさ」という観点や「せっけんメーカー」という特性を活かした、もっと良い提案ができるのではないか、という話になりました。
そこで出たアイデアが、「使い捨てる、から使い切る」というものです。
石鹸を使いながら、容器自体も最後には使える。最終的には何も残らない。
この発想の転換が、「未来のせっけん」というコンセプトの出発点になりました。
試行錯誤の連続
アイデアが決まってからは実際にせっけんの製造に取り掛かりました。
容器として機能しながら、石鹸としても使える素材とは何なのか?
どうやって成型すれば良いのか?
実際に使いやすい形状はどんなものなのか?
最初はうまくいかずに、白濁したり収縮したりしてしまい、成分の細かい調整や、成型時の工夫が必要でした。
また、中身の石鹸自体も、万博の規定でご使用いただくことは叶いませんでしたが、環境にやさしいものにこだわっており、半固形という絶妙な硬さにするのが難しく試行錯誤の連続でした。
完成した「みらいのせっけん」
https://youtu.be/5-Edhycxnqw?feature=shared
そして出来上がったのが、「みらいのせっけん」です。
容器までせっけんにしてしまうということを、実際にできるかどうかと不安になっていましたが、井本さんや開発担当などの協力のもと、形になったときはいいものができたと感じました。
また、角砂糖のような半固形の石鹸も、必要な分だけ使い切るというシンプルだけど意外とない新しい提案になったと思います。
ただ、万博ではモックアップの展示となり「溶けてしまわないのか」「輸送はどうやってするのか」など、実際的な問題は解決されていません。
今後、もし商品化などが進めば大きな問題となるかと思いますが、できることから取り組んで行ければと思っています。
万博で伝えたいこと
前編でお話しした審査会から、「みらいのせっけん」の完成まで、本当にたくさんの人に支えていただきました。社内のスタッフはもちろん、デザイナーさん、出展者のみなさん、そして八尾市の皆さん。
9月の万博では、この「みらいのせっけん」を通じて、これからの暮らしについて来場者の皆さんと一緒に考えていければと思っています。
使いやすくて、楽しくて、それでいて地球にも優しい。
そんな未来の石鹸の可能性を、ぜひ実際に手に取って感じていただきたいです!
9月16日からの1週間、八尾市リボーンチャレンジのブースでお待ちしています。
「みらいのせっけん」、ぜひ体験しにいらしてください!
【出展概要】
まちこうばのエンターテイメント! ~みせるばやおモデル~
日程:2025年9月16日(火)~9月22日(月)
大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオン
出展企業(13社)
株式会社アーテック/アベル株式会社/株式会社ウエダ美粧堂/カネエム工業株式会社/ 木村石鹸工業株式会社/有限会社大一創芸/株式会社友安製作所/錦城護謨株式会社/藤田金属株式会社/ 株式会社マックス/株式会社ミナミダ/株式会社八尾金網製作所/ヤマトエスロン株式会社
