化粧品や洗剤〜同じ成分・原料なら同じ品質なの!?

最近ネットで、とある高級ブランドのある化粧品と、コンビニなどでも売られてる比較的安価なある化粧品が、成分がまったく同じだということで話題になりました。

その安価な化粧品を買えば、高級ブランドのモノと同じ効果や効能を得られる、ということで、その安価な化粧品が大人気だそうです。

化粧品は、全成分表示が義務付けられていますので、それぞれの製品にどんな原料が使われてるは簡単に調べることができます。

色々、他の商品でも比較してみると、ほぼ同じ成分を使ってるのに、価格が何倍も違う、みたいなものは、少なくはないのではないかと思います。

でもです。　

同じ成分だから、中身が同じ、効果や効能も同じ、というのは、大きな間違いです。

もちろん、高級化粧品の方が優れてて、安価なものが駄目とか、そういうわけではないかと思いますし、その話題になってる化粧品がどうかはわかりません。

ただ、単純に成分の比較だけで、その商品の品質や価値を語るというのは、間違ってます。

成分と同じぐらい製造工程・プロセスも品質を左右する

化粧品にしても、石鹸や洗剤にしても、利用している成分そのものも大事ではありますが、その製造工程も同じぐらい重要だったりします。

例えば、原料を混ぜる順番、配合量、熱を入れるタイミングや、どれぐらの熱をかけるのか、どの程度の攪拌をどのタイミングで行うのか等、細かい製造プロセスが、製品の品質に大きく影響を与えるのです。

実際、まったく同じ原料を使っても、製造プロセスの違いで、まったく違うものが出来上がるということは化学的には十分にありえることです。

実は、こういう細かい製造プロセスこそが、メーカーそれぞれの独自ノウハウであったり、価値であったりするわけです。

では、実際、同じ成分で作って、品質に大きく差が出てしまうという例を、具体的にお見せしたいと思います。

同じ成分・原料で作っても、実はこんなに違う!〜カリ石鹸の仕上がり

同じお味噌や鰹節をつかっているのに、作る人によってお味噌汁の味が全然違う!　皆さんにもこんな経験ありませんか?　お味噌汁はダシの取り方やお味噌の溶きかた、具の入れ方によっても味が全然違ってきます。お味噌汁って奥が深いですね。

実は石けん作りもお味噌汁作りと同様、あるいはそれ以上に奥が深い世界です。

今日は、作り方によって石鹸の仕上がりが全然違うことを、カリ石鹸を例にご紹介します。

まずはカリ石鹸について。

カリ石鹸は油脂(トリグリセリド)を水酸化カリウムで加水分解して得られた脂肪酸カリウム塩です。

弊社のカリ石鹸は油脂を水酸化カリウムと共に釜でじっくりと炊いていく釜焚きケン化法で作っています。

油と水酸化カリウムを釜で焚くだけ?簡単そう?と思われる方もいるかもしれませんが実はこれが職人の経験と知識が必要になる老舗石鹸メーカーの技の見せ所なのです。

たとえば石鹸を焚く時間が短かったり、熱のかけ方が不十分だったりすると、未反応の油脂とアルカリが残ってしまいます。油が残ると汚れ落ちが悪くなり、アルカリが残ると皮膚刺激が強くなってしまいます。

同じように見えるカリ石鹸だけど...

ここで、弊社で製造しているカリ石鹸の完成品と反応途中品をお見せします。

_{一見まったく同じカリ石鹸に見える。}

Aが完成品、Bが反応途中品です。御覧のように外見はどちらも無色透明、匂いも石鹸特有の臭いがあり、差はほとんどわかりません。

しかしこれらのpHを計ってみると・・・

PHにかなりの差が...!

AのpHは約10.5、弱アルカリですが、BのpHは約12.0と高い値です。

まだ未反応の水酸化カリウムが多く、これではお肌への刺激が強くなってしまいます。

このAとBとの差は、反応時間が長いか短いかですが、それだけでこんなに中身が変わってしまいます。しかも、一見すると外見に差がなく、ちゃんとできているように見えてしまうところが落とし穴なのです。

そして焚き方がさらに浅いとこのように完全に濁ってしまいます。

_{こんなに白濁してしまう}

同じ原料を使っているのにもはや別物ですね。

もっと長く焚けばいいだけじゃないの?

だったら、長く炊けばいいんじゃないの?と思われるかもしれません。でも、焚きすぎても石鹸が劣化して、色が付いたり匂いがきつくなったりトラブルが発生します。またアルカリの入れ方や微妙な火加減、また季節による気温の変化によっても石鹸の出来は左右されます。

木村石鹸では、石鹸釜の泡の様子や液の質感を熟練の職人が見極めたうえで、各種測定器を使った分析のダブルチェックでケン化反応の進み具合を確認しています。

SOMALI(そまり)の石けんは、他の石鹸とは違う

先日、発売したSOMALI(そまり)というシリーズは、弊社の石鹸屋としての90年のノウハウをつぎ込んだ商品です。

石けんといっても、上で見たように、作り方ひとつで、違うものができてしまいます。　洗浄成分が「石鹸」という洗剤は、世の中には沢山あるかと思いますが、一口に「石鹸」といっても、そこには大きな差があるのです。

私たちが絶対の自信を持ってお届けする「石けん」。これを主成分に、天然由来、天然ミネラル由来のシンプルな原料のみで作られたハウスケアシリーズ「SOMALI(そまり)」。ぜひ、一度、試して見て下さい。

SOMALI 植物オイル100%の純石鹸からできた洗剤