
近年では、あらゆる分野において「安心・安全」を謳う商品が増えてきました。それだけ、環境や健康などへの意識が高まっているということでしょう。
環境に配慮した商品、人体への影響を限りなく低くする商品が増えていくことは、決して悪いことではありません。しかしながら、一方で、「安心・安全」をお客さんの気を惹くための一つのマーケティング素材として利用している企業も少なくはないのではないかと思います。
石鹸や洗剤、洗浄剤の領域においても、「安心・安全」をアピールしている商品は数多く、それらの商品の多くは、「合成界面活性剤」を敵にして、天然のものや純石鹸成分であることをアピールします。
私たちの商品の多くも、自社で製造している「純石鹸」を核にしているものも多く、これらの商品では、純石鹸成分の最大の特長である安全性をウリにしています。しかしながら、私どもは一概に「合成界面活性剤」を悪とは考えていません。「純石鹸」だから全て良いとも考えていません。
重要なのはバランスだと、考えています。
例えば、「純石鹸」は、確かに生分解性が高く、環境負荷が低いと言われています。しかしながら、純石鹸成分を界面活性剤として用いる場合、一般的な合成界面活性剤と比較すると、かなりの量を配合しなければなりません。いくら生分解性が高くても、合成界面活性剤の何倍もの量を使わなければいけないのであれば、それは果たして環境に対して優しいと言えるでしょうか。
合成界面活性剤の中には、生分解性の優れたものもあります。それらと比較した場合に、一概に「純石鹸」だから安全、安心だと言うのは、ある種、生活者を騙していると言えないでしょうか。
洗浄力や使用量などのバランスを考えた場合に、合成界面活性剤を利用したほうが、「安心・安全」であることも、少なくはないはずです。
なので、私たちは、まずしっかりとした科学的根拠に基づいて、「安心・安全」なものを開発していきたいと思います。アピールのためだけに「安心・安全」を掲げるのではなく、生活者や環境にしっかりと配慮してバランスの取れた製品開発を行っていきたいと考えています。