意思決定や判断はできるかぎり現場近くで 組織にあまり複雑なルールを持ち込みたくない
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そういえば去年は稟議書に判子押してないな….
僕は、意思決定は現場に近いところで行うべきだ思ってる。
去年、僕はほとんど何も社内稟議書とかに判子を押さなかったけど、それは稟議するものがなかったわけではない。かつては稟議者が必要だったさまざまな手続きも、無くしてしまったというのが実際のところだ。
そもそも稟議書なんて、なにか問題が起きた時の責任追及や犯人探しのために使われるもので、それ以外にはほとんど役に立たないんじゃないかと思ってた。問題起きた時に、ほら、こんなに判子押されてる、皆、承認してますよ、という具合に、責任を分散させる、あるいはできる限り職位の上の人に責任を取ってもらうために用意されてるんじゃないかと。
稟議書上がってくるたびに、内容を吟味するわけだけど、正直その機械が必要なのかどうか、修理にこれぐらいかかるとか、僕にはよくわからないことだらけで、よく聞くとなるほどそりゃそうだなと思うことばかり。そりゃそうだ。現場も別に趣味で機械が欲しいわけでもないし、不必要に人を採用したいわけでもない。
なので、稟議書が上がってくるたびに、別にこんなの承認いらないよ。現場で本当に必要なら買えばいいし、採用必要なら取ればいい、みたいなことを言ってたら、いつのまにか稟議書がなくなってしまった。
なくなったから各自が好き勝手してるかといえばそんなことは当然なく、関係する人や部門などに相談や連絡はしてるし、高額の買い物の場合は、僕には念押しの確認は来る。だいたいチャットワークとかで。それで問題ないと思ってる。
「ティール組織」の中に「助言プロセス」という概念が出てくる。ティール組織のほとんどでは、決済や意思決定を現場で行ってるが、それら組織に共通して存在するのが「助言プロセス」というルールだ。それは、意思決定する際には、必ずその意思決定に関係する人々や部門に相談する/助言を貰う、というルールだ。すごくシンプルなルールだけど、当社の現状も、たぶん、ほぼこの「助言プロセス」があるだけの状態みたいなものだ。
▽『ティール組織 ーーマネジメントの上記を覆す次世代型組織の出現』
(木村石鹸は、まだまだ「ティール組織」にはほど遠いけど、「ティール組織」になりえる要素は多分にあるし、すでに「ティール組織」的なところもあるように思っている)
決済金額権限やエスカレーションルールもないけど大丈夫!?
そう、「高額の買い物の場合は」と上で書いたけど、うちにはいくらからだと誰の決裁が必要とか、そういう厳密なルールもない。
たとえば、製造に必要な原料とかだと何百万とかみたいなものあるが、たいていのものは現場で判断している。稀に、まとめて買ったほうが安いが、今後の受注や、その原料が使われてる商品のライフサイクルとかの問題で、現場だけでは決められないので相談されることはあるぐらい。僕が何かを確認したり、承認したりすることはない。現場で使う備品類なども、各自がほぼ勝手に購入してる。
でも、製造設備の導入や修理、営業車の購入などは、役員レベルまで相談が来ることが多い。
どういう基準なのかは僕にはよくわからない。たぶん、現場の人たちもよくわからないだろうと思うんだけど、そこで細かくルールを作るというのもどうかと思ってる。ルールを作り出すとどんどん細かくなっていくだろうし、ルールを守れてるかどうかをチェックする人ができてしまったり、またルールが適応しにくい例がでてきて、その都度、ルール改定が必要になったり、結局のところ、ルールは作り出すとだいたい複雑化する。
なので、僕としてはルールはなるべくシンプルにしておいて、都度都度、現場レベルで判断していけるようにした方がいいんじゃないかと思ってる。
ルールは作り出すとどうしても複雑になる。なので出来るかぎりシンプルに。
多分、そもそもこの手の決済権のルールって、1つには無駄なものを買わない/買わせないようにするとか、そういうハードル的な意味合いもあると思うんだけど、じゃあそれで削減できる経費と、そういうルールを運用していくために必要な負担や労力とを天秤にかけたとき、どっちが本当に効率的/効果的なんだろうか、ということも考えておく必要はあるんじゃないか。
もちろん何百、何千、何万人という従業員を抱えてる組織なら、こういうルールによって削減できる経費は相当なものになるし、各人が好き勝手しだすと、統制がとれなくなる可能性もあるので、この手のルールは必要だったりもするんだろう。
(ただ、「ティール組織」を読むと、組織やマネジメントのスタイルによっては、大規模組織だろうが、現場任せで、ルールを作らないというやり方でも十分成り立つんだろうということは分かったけど)
でも、少なくともうちのような40人弱の会社なら、各人、各部門の動きも、ほぼ皆、だいたい見えてるし、厳密なルールなどつくらなくても、会社の状況などを考えて各自で判断して動くほうが、僕には効率的に思える。
なので、うちの場合は、当面は、そのまま放置して曖昧なままで行こうと思ってる。各自がこれは上に相談しとくべきだな、確認しておくべきだなと思えば、そうすればいいし、これはもう現場で判断して問題ないやと思うならそうすればいい。
意思決定は現場に近いところで行うべき
そもそも意思決定に必要な情報は現場のほうが沢山持ってるはずなので、正しい判断をできるのは現場の方だ。
もちろん失敗やミスもあるだろうけど、でもじゃあ上が決断してミスがないのかといえば、多分どっこいどっこいだろう。
であれば、スピードも速い現場で意思決定してしまったほうがいい。責任云々は、失敗からどれだけ学んで同じことを繰り返さないかにかかってる。であれば、それも現場で決断して現場で成否を判断して現場で学びを得るべきだ。マネジャーは、そういったプロセスをより進めやすく、また意思決定しやすくなるような環境を作ってやったり、サポートすることに力を注ぐべきなのだ。
あと、「責任」は大事かもしれないけど、過剰に「責任」を追求する組織になれば、誰も新しいことにはチャレンジしなくなる。これだけ変化の早い時代において、新しいことにチャレンジできない、しにくい組織のほうがよっぽどリスクがあると、僕は思う。